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ペットが交通事故に!慰謝料はどうなる?!

ペットが交通事故に!慰謝料はどうなる?!

ペットの慰謝料

この記事を書いたのは、私が唯一、「交通事故慰謝料増額」に貢献できないケースが
発生したからです。
皆さんは、自分がかわいがっていて、家族同然のペットが交通事故被害に遭ったとき、
人間でいうところの「慰謝料」って、支払われるかご存知でしょうか?

結果から言ってしまうと、一般的には認められません。
何故なら、ペットの死亡や負傷は「物損」と考えるからです。
私も動物が大好きなので、この考え方が嫌いなのですが、
ペットが「物」として扱われてしまうのは、現状の日本では致し方のないことです。
物損は、物の価格の賠償がなされればそれをもって原状回復がなされたとされ、
物損の慰謝料が認められないのが原則です。

中には、愛するペットを交通事故によって失い、それが原因で仕事もできなくなった。
生活リズムもおかしくなり、生活のあらゆる場面において、支障をきたしている。

このような方もいらっしゃるかと思います。
その場合の、飼い主に対する慰謝料であったとして、(一般的には)認められないという
ことです。

ペットの交通事故慰謝料に関する事例

すべてのケースが1円も認められないわけではありません。
日本国内の事例と海外の事例を1つご紹介いたします。

(国内)

  1. 愛玩動物の喪失による精神的苦痛に対する慰謝料20,000円を認めた。(東京地裁/昭和40年11月26日)
  2. 治療費60,300円、タクシー代2,730円及び血液検査を受けさせた費用として5,000円を損害と認めた(大阪地裁/平成15年7月30日)
  3. 犬の葬儀費用27,000円のほか、慰謝料50,000円を認めた(東京高裁/平成16年2月26日)

(海外)
海外では、例えばお隣の韓国ソウル地裁で以下のような判例があります。

「ペットは物とは違い、所有者が精神的な絆と愛情を分かち合い、生命を持つ動物という点などを考えると、治療費がペットの価格より高く支出されたとしても賠償するのが社会通念に照らして認められる」と判断し、治療費の半額と慰謝料20万ウォンの支払いを命じる判決を出しています。

参考URL:ソウル地裁「ペットの交通事故にも慰謝料」

ペットの交通事故慰謝料請求を断念

「断念」というより、現状のルールでペットの交通事故に慰謝料を支払わせるのは、
きわめて難しいうえ、飼い主さんの心の傷をさらに大きなものにする可能性もあるので、
相談者の方には、以下のことをお伝えしました。

・現状の日本ではペットは「物」として扱われること
・物損は、物の価格の賠償がなされればそれをもって原状回復がなされたとすること
・ペットの交通事故慰謝料の請求は心の傷がさらに大きなものになる可能性が高いこと
・片山は動物が大好きだということ

このような、相談者にとっては、「役に立たない」アドバイスしかできませんでした。
それは、片山としても実に心苦しいことではありましたが、こればかりは仕方がありません。

「弁護士先生に頼めば何とかなりますか?」

こう考える方もいらっしゃるかもしれませんが、結果は同じです。
何故なら、あくまでも原則は原則だからです。
使う人間(弁護士やその他、交通事故専門家等)を変えても「原則」が変わることは
ないのです。

交通事故によって動物を失い、何も手につかない。
もはや、生活に支障をきたしている。
これを「ペットロス症候群」と呼んだりします。
ペットロス症候群とは、ペットとの別れなどというストレスが契機となって発症した
精神疾患(症候群≒病気≒疾患)を指しますが、命名した人は分かっていません。

そもそも動物を愛している人たちは「ペット」だと考えていないのです。
もし、今、これを読んでいるあなたがそのような状態であれば、1日でも早く元気になって
ほしいと思います。
わんちゃんかねこちゃんか存じませんが、きっと彼(彼女)らもそう願っているはずです。

大切な思い出は、いつまでも大切なまま。
それはずっと変わりません。
その大切な思い出はつまらない「原則」などには縛られません。

1日も早く元気になっていただけることを願っています。